【20世紀洋楽】ブリティッシュフォークの妖しい世界
ケルトやアイリッシュ等の伝統音楽の影響を色濃く受けつつ、プログレッシブ・ロックにも相通じる独創性に英国独特の陰影をまとった幻想的な世界をご堪能ください。
- 1. プレイリスト
- 2. ライナーノーツ
- 2.1. 1Sandy Denny – Quiet Joys Of Brotherhood
- 2.2. 2Pentangle – Light Flight
- 2.3. 3Steeleye Span – Female Drummer
- 2.4. 4Mellow Candle – Sheep Season
- 2.5. 5Sunforest – Where Are You
- 2.6. 6Trees – The Garden Of Jane Delawney
- 2.7. 7 John Martyn – Head And Heart
- 2.8. 8 Nick Drake – One Of These Things First
- 2.9. 9Tudor Lodge – It All Comes Back To Me
- 2.10. 10Fairport Convention – Fotheringay
- 2.11. 11Trader Horne – Jenny May
- 2.12. 12Vashti Bunyan – Rose Hip November
- 2.13. 13Spirogyra – The Future Won’t Be Long
- 2.14. 14Bridget St John – A Day Away
- 2.15. 15Pentangle – The Cuckoo
- 2.16. 16Sunforest – Magician In The Mountain
- 2.17. 17Nick Drake – Things Behind The Sun
- 2.18. 18Vashti Bunyan – Rainbow River
- 2.19. 19Steeleye Span – Lovely on the Water
- 2.20. 20Maddy Prior – Blood And Gold
- 2.21. 21Gallery – Queen Of Hearts
- 2.22. 22 Spriguns – Dead Man’s Eyes
- 2.23. 23 Fairport Convention – Who Knows Where The Time Goes?
プレイリスト
YouTube
※右上のマークをクリック(タップ)するとプレイリストの楽曲一覧が表示されます。
Apple Music
※ライナーノーツの451022は未収録。
ライナーノーツ
1Sandy Denny – Quiet Joys Of Brotherhood
朝露をまとった樹木の上で森の妖精たちが声を合わせる荘厳な調べ。ブリティッシュフォークの女王サンデイ・デニーが歌うアカペラの歌声はそんなことをイメージさせる。アイルランドの伝承歌「マイ・ラガン・ラブ」にアメリカのシンガーソングライター(詩人、作家)リチャード・ファリーニャの歌詞を載せた作品で、多重ヴォーカルトラックはブルガリアの合唱(ブルガリアン・ヴォイス?)から影響を受けたらしい……言われてみれば確かに!

1972年リリースの 2nd アルバム。全10曲中8曲が彼女自身の作詞・作曲によるもの。リマスター盤にはさらにボーナストラックが5曲収録。
2Pentangle – Light Flight
ブリティッシュフォーク・バンドの二大巨頭の一つ、ペンタングルによる軽快なナンバー。変拍子にプログレ臭が漂う。そんなところもブリティッシュフォークの魅力か。左右のチャンネルに分かれたバート・ヤンシュとジョン・レンボーンの両テクニシャンによるギター・アンサンブルも聴きどころ。

3Steeleye Span – Female Drummer
トラッド音楽をアシッドなフォーク & ロックに昇華させた、ブリティッシュフォーク界の重鎮スティーライ・スパン。これもトラッドを軽快にアレンジした1曲。

1971年リリースの 2nd アルバム。前作はゲストミュージシャンによるドラムが入っていたが、今作からしばらくはドラムレスのユニークなバンド編成に。
4Mellow Candle – Sheep Season
デビューアルバム1枚のみのリリースで解散した伝説のバンド、メロウ・キャンドル。女性ツイン・ヴォーカルの清らかで凜とした歌声に癒やされる。

5Sunforest – Where Are You
けだるいヴォーカルがアシッドな雰囲気を醸し出す、サイケなポップナンバー。2曲目のペンタングルもそうだが、ブリティッシュフォークには何故か変拍子が似合う。

1970年リリース。スタンリー・キューブリック監督の映画「時計じかけのオレンジ(1971年)」で本作から「Overture To The Sun」と「Lighthouse Keeper」の2曲が使用されるなど、知る人ぞ知るマニアックな名盤。
6Trees – The Garden Of Jane Delawney
トゥリーズのデビューアルバム収録の表題曲。トゥリーズと言えばインパクトのあるジャケ写の 2nd アルバムが有名だが、個人的にはこちらのアルバムの方が好き。

7 John Martyn – Head And Heart
派手さはないが確かなテクニックと豊かな音楽性に裏打ちされた実力派シンガー。

1971年にリリースされた通算5枚目のアルバム。2007年のガーディアン紙による「死ぬ前に聴きたい1000枚のアルバム」に選出。名盤。
8 Nick Drake – One Of These Things First
孤高の天才ニック・ドレイク。彼の作品の中では比較的明るく軽快なナンバー。

1971年リリースの 2nd アルバム。2003年にローリング・ストーン誌の「史上最高のアルバム500枚」に選出(245位)。
9Tudor Lodge – It All Comes Back To Me
誰が言ったか「英国トラッドフォーク三種の神器」の1枚「Tudor Lodge」に収録された、牧歌的な味わいの1曲(ちなみに残り2枚はメロウ・キャンドルの「Swaddling Songs」とスパイロジャイラの「 Bells,boots And Shambles」)

1971年リリースのデビュー・アルバム。男女混声の3人編成のグループにゲストミュージシャンを加えて制作された、ブリティッシュフォークの代表作。
10Fairport Convention – Fotheringay
サンデイ・デニーの作詞作曲による、歴史に翻弄されたスコットランド女王メアリ・スチュワートを題材にした人気曲。

11Trader Horne – Jenny May
フェアポート・コンベンションの初代ヴォーカリスト、ジュディ・ダイブルとジャッキー・マコーリーと、ヴァン・モリソンのバンド(ゼム)でキーボードを弾いていたジャッキー・マコーリーによる男女デュオ「トレイダー・ホーン」のメルヘンチックな1曲。

12Vashti Bunyan – Rose Hip November
英フォーク界の歌姫ヴァシュティ・バニヤンが歌う、ジャケ写のイメージそのまんまな1曲。

13Spirogyra – The Future Won’t Be Long
どことなく初期のジェネシスを彷彿とさせるシアトリカルな雰囲気で始まり徐々にプログレ色を深めていく、スパイロジャイラの摩訶不思議な1曲。

1972年にリリースされたデビュー作。いわゆるブリティッシュフォーク界「三種の神器」と呼ばれる3グループの中では最も「プログレ臭」を感じさせるアルバム。
14Bridget St John – A Day Away
休日の朝に聴きたい、爽やかな一曲。格調高いオーケストレーションが光る。

1971年にリリースされた 2nd アルバム。ピンク・フロイド「(邦題:原子心母)」にも参加しているロン・ギーシンがストリングスや管楽器のアレンジを担当。
15Pentangle – The Cuckoo
ペンタングルによるイギリス民謡のアレンジ。ジャッキー・マクシーの清らかな歌声と、それを支えるバート・ヤンシュ & ジョン・レンボーンのギターアンサンブルが秀逸。

16Sunforest – Magician In The Mountain
ブリティッシュと言うよりアメリカ西海岸が似合いそうな、サイケなフォークロック。シャープナインスの響きがジミヘンを彷彿とさせる。

17Nick Drake – Things Behind The Sun
彼の内省的な世界がアコギ1本で歌うことでより極まった名曲。

1972年にリリースされた3枚目のアルバム。このアルバム制作の2年後、抗うつ剤の過剰摂取により26歳という若さで亡くなる。合掌……。
18Vashti Bunyan – Rainbow River
曲調そのまんまの牧歌的で平和な歌詞にホッとする1曲。

19Steeleye Span – Lovely on the Water
スティーライ・スパンによるイギリス民謡のアレンジVer. エレキギターの旋律が哀愁を誘う。

20Maddy Prior – Blood And Gold
スティーライ・スパンのヴォーカル、マディ・プライヤーによるイギリス民謡のアカペラ・アレンジVer.

21Gallery – Queen Of Hearts
アイルランド民謡のアレンジ。Seabourne 兄妹による男女のハーモニーが絶妙。

22 Spriguns – Dead Man’s Eyes
1972年に結成された Spriguns による、どことなくジェファーソン・エアプレインを彷彿とさせるロックテイストな1曲。

23 Fairport Convention – Who Knows Where The Time Goes?
邦題「時の流れを誰が知る」。当リストのラストは、やはり女王の神々しい歌声で締めたい。この曲は彼女自身の作詞作曲によるもので、彼女のソングライターとしての才能をうかがわせる名曲。

1969年リリースの 3rd アルバム。全英アルバムチャート12位。ちなみにジャケットに映っている老夫婦はデニーの両親。