クリスマスパーティー
学園祭バンドで自信を付けた小僧は、その後も自身のバンドでアマチュアバンドのコンサート等にちょくちょく顔を出すようになった。そんなとき、普段から親しくしていた楽器屋のお兄さんから「今度ウチの関係者のクリスマスパーティがあるんだけど、そこで演奏してくれない?」とのお誘いがあった。小僧は二つ返事で OK した。
当日、会場に行ってみると、そこにはどう転んでもロックなど聴きそうにない雰囲気の男女が集まっていた。小僧はそこで初めて「関係者」が楽器屋の2階にある某○マハ系音楽教室の先生たち(とスタッフ)であることを知った。
普段子どもたちにピアノやエレクトーンを教えてる先生方の前でロックを演奏しても大丈夫なのかなと不安になったが、楽器屋のお兄さんが「どうせみんなすぐに酔っ払っちゃうから、何を演奏しても平気だよ。気兼ねなくやんなよ」と言ってくれたので、小僧たちは開き直って演奏することにした。
小僧たちのライブが果たして「大いに盛り上がった」かと言えば微妙だったが、先生たちは概ね好意的に受け止めてくれたようだった。
そうこうしているうちに最後の曲になった。曲はユーライアヒープの「対自核」であった。するとそれまでおとなしく聴いていた先生たちの中で、前の方に座っていた比較的若い人たちが一斉に立ち上がって踊り出した。その頃になるとかなり酒も入っていたし、最後の曲ですとコールしたせいもあるだろう。
しかしその後しばらくすると、それまで後ろの方でゆったりと構えていたお偉いさんらしきオジさんオバさんまでもが立ち上がった。
その後彼らが取った行動を見て、小僧は思わずギターを弾くピックを落としそうになった。
なんと彼らは「対自核」に合わせて、全力で「チークダンス」を踊り始めたのである。
ユーライアヒープを BGM に、嬉々として赤ら顔でチークダンスに興じるオジさんとオバさん。しかも、もともとテンポの速い曲なのに終盤さらにテンポが上がっていく「対自核」に最後まで必死にくらいついていくオジさんとオバさん!
その光景はさながら「魔の饗宴」であった。
想い出の1曲
Look at Yourself
- 曲名
- Look at Yourself(邦題:対自核)
- 録音
- 1971年
- リリース
- 1971年
- 作詞・作曲
- Ken Hensley
- ヴォーカル
- Ken Hensley
- キーボード 他
- Ken Hensley
- ギター
- Mick Box
- ベース
- Paul Newton
- ドラムス
- Ian Clarke
- コーラス
- David Byron
- パーカッション
- Osibisa
実はこの曲を歌っているのはリードヴォーカルのデヴィッド・バイロンではなく、キーボードのケン・ヘンズレーである(バイロンがレコーディング時に喉の不調を訴えたため)。ライブではバイロンが歌っている。

日本のロックファンにその名を知らしめた、1971年リリースの 3rd アルバム。大ヒットした「Look at Yourself(対自核)」収録。
